はじめに
日本理化学工業株式会社は、障がい者雇用を通じて社会の中での価値を見出し、持続可能な企業経営を実現している素晴らしい企業です。
このブログ記事では、同社の創設者の背景、経営理念、取り組んでいる事業、そして従業員が働きやすいと思える施策やアイデアについて、具体的な事例を交えながら紹介します。
日本理化学工業の創設者 大山泰弘氏のビジョン
創業の背景
日本理化学工業は、1956年に大山泰弘氏によって設立されました。大山氏は東京出身で、若い頃から商売の才覚に優れていました。彼は戦後の日本で、将来に渡って需要が見込める文具の製造業に着目し、チョークの製造に特化した会社を立ち上げました。
大山氏は、経営者としての経済的な成功だけでなく、「全ての人が生きがいを持って働ける社会を創る」という壮大なビジョンを持っていました。
大山氏の障がい者雇用への思い
大山氏も最初から障がい者雇用に理解があったわけではありませんでした
ある日、養護学校の先生から、知的障がい者である二人の生徒の就業体験を依頼されました。
う〜ん、雇う前提では難しいけど、2週間くらいだったら、就業体験させても良いですよ!
就業体験中の二人は一言も喋らず、無心に仕事に取り組んでいました。気がついた従業員が、二人の肩を叩かなければ、昼休みのベルにも気付かないほど懸命に働いていました。
一生懸命働いてくれているし、良い子達だ。だが、この子達を雇用したとして、彼らの人生に責任を持つことができるだろうか
大山氏は障害者を雇用すべきかどうか悩んでいるとき、ある従業員からこんな言葉を掛けられました。
私達が面倒を見ますから、あの子達を雇ってください!!
わかった!二人を採用しよう!!
彼は、職業を通じて得られる自己肯定感や社会参加の意義を重視し、特に社会的に弱い立場に置かれることの多い障がい者の雇用に熱心に取り組みました。
人は人に必要とされる存在でありたいと思っている。それが幸福だということに気づいたんです
大山氏のその思いは、彼が「人間の幸福は、働くことによってもたらされる」という信念を持っていたことに起因します。この信念に基づき、大山氏は障がい者を積極的に採用し、彼らが社会の中で有用な役割を果たせるように努めました。
経営理念と事業内容
経営理念
日本理化学工業の経営理念は、「全ての人々が生きがいを持って働ける社会を創る」です。この理念は、障がいの有無にかかわらず、すべての従業員が自己実現を達成し、社会に貢献できる環境を提供することを目指しています。
この理念は、企業の社会的責任(CSR)を重視する現代のビジネス環境において、特に際立っています。多くの企業が利益追求に重きを置く中、日本理化学工業は社会的価値の創造を重視し、それが企業の長期的な安定と持続可能性に繋がっていると考えます。
事業内容
日本理化学工業は、主にチョークや他の文房具の製造に取り組んでいます。同社の主力製品である「ダストレスチョーク」は、その名の通り粉が飛び散らない特徴を持ち、国内外で高い評価を得ています。
廃棄のホタテ貝殻をチョークに配合し、環境にも配慮したうえに、品質も向上させています
この製品は、教育現場において健康的な環境を提供するために重要な役割を果たしており、特に粉塵アレルギーを持つ人々にとっては有益です。
障がい者雇用への取り組み
障がい者雇用の実績
日本理化学工業では、全従業員の約7割が障がい者という驚異的な雇用率を誇っています。これは、日本の他の製造業と比較しても非常に高い割合であり、同社が障がい者の雇用に対していかに真摯に取り組んでいるかを示しています。
この高い雇用率は、同社が障がい者が働きやすい環境を整備し、彼らの能力を最大限に発揮できるよう支援している結果です。多くの企業が、障がい者の雇用において法定雇用率を達成することを目標としている中、日本理化学工業はそれを大きく上回る実績を誇っています。
しかも、日本理化学工業で知的障がい者を採用する際、障害の度合いは基準にしていません!
働きやすい環境づくりの施策
職場環境の整備
日本理化学工業では、障がい者が安全かつ快適に働けるよう、職場環境を細部にわたって整備しています。
例えば、チョークの製造ラインは座って作業できるように配置され、体力的な負担を軽減しています。また、視覚や聴覚の障がいを持つ人々にも対応できるように作業内容を工夫しています。
誰もが使いやすい道具で間違いなく作業できるよう、工夫が積み重ねられています!
教育と研修の充実
同社は、従業員のスキル向上のための教育と研修に力を入れています。定期的に実施される研修プログラムは、基礎から応用まで幅広い内容をカバーし、従業員が自分の能力を最大限に発揮できるよう支援しています。
メンタルヘルスケア
心理的なサポートも充実しており、カウンセラーが常駐して従業員のメンタルヘルスをサポートしています。これは、従業員が安心して仕事に取り組める環境を提供する上で重要な役割を果たしています。
コミュニケーションの促進
日本理化学工業では、従業員同士のコミュニケーションを円滑にするための取り組みが積極的に行われています。定期的なミーティングやワークショップを通じて、従業員が意見交換を行い、情報共有を促進しています。
キャリアパスの提供
障がい者が自分のキャリアを描けるように、同社は昇進や異動の機会も提供しています。これは、従業員が自分の将来に対して明確なビジョンを持つことを可能にし、より高いモチベーションで仕事に取り組むことを支援します。
日本理化学工業の社会的影響
企業のリーダーシップ
日本理化学工業の取り組みは、他の企業や組織に対して良い影響を与えています。障がい者雇用における彼らの成功事例は、他の企業が同様の取り組みを開始するきっかけとなっています。
障がい者雇用率を達成すれば良い、という発想から抜け出し、障がい者雇用を当たり前にできる社会になってほしいです!
これにより、障がい者の雇用機会が増え、社会全体がより包括的で多様性に富んだものになることが期待されています。
製品の社会貢献
製品を通して、安心安全を提供できる。しかもその製品を誠意を持って作っている!
同社の製品であるダストレスチョークは、健康的な環境を提供するだけでなく、教育現場での学習効果を高める役割を果たしています。特に、粉塵アレルギーを持つ子供たちが安心して学べる環境を提供することで、彼らの教育機会を拡大しています。
結論
日本理化学工業株式会社は、障がい者雇用を通じて社会に大きな貢献をしています。創設者の大山泰弘氏の強い理念に基づき、同社は障がい者が生きがいを持って働ける環境を提供することに全力を尽くしています。
従業員が働くことで幸せになり、製品を使うことで皆が幸せになる好循環!
このような企業が増えることで、社会全体がより包括的で多様性に富んだものになることが期待されます。
日本理化学工業の取り組みは、他の企業や組織にとっても良い手本となり、障がい者が活躍できる場を広げるきっかけとなるでしょう。
従業員が幸せでなければ、会社の成功はないと思うぞ!
彼らの成功は、企業が利益だけでなく社会的価値の創造を目指すべきであるという強いメッセージを発信しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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